化学物質の許認可周りの
Q&A~厳選50~
1~10:化審法・新規化学物質関連
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Q: 新しい化学物質を国内で初めて製造・輸入したいのですが、化審法の「新規化学物質届出」はどう進めれば良いでしょうか?
A: まず既存化学物質名簿で該当がないか確認し、必要があれば各省庁(経産省・環境省・厚労省)へ審査届出を行います。事前に毒性試験や試験データの準備が必要です。 -
Q: 化審法で第一種特定化学物質に指定されると、具体的にどんな規制を受けますか?
A: 厳格な製造・使用制限が課され、事実上の製造・輸入禁止状態となるケースが多いです。取り扱い時には特別な許可や用途制限が必要になります。 -
Q: 化審法の「監視化学物質」に該当する場合、何か届出や報告が必要でしょうか?
A: 大量に取り扱う場合には製造・輸入量の把握・報告が必要です。監視化学物質は将来的に特定化学物質へ昇格する可能性もあるため定期的な情報収集が求められます。 -
Q: EUのREACHや米国のTSCAのデータがあるのですが、化審法の新規届出で活用できますか?
A: 一定の毒性試験データは活用できる可能性がありますが、日本独自の要件や試験方法が指定されているケースも多いです。届出書類の作成時に要確認です。 -
Q: 小ロット(1トン未満)で新規化学物質を輸入する場合も必ず届出が必要でしょうか?
A: 化審法には「少量新規」のような簡易届出の制度がありますが、それでも一定のデータや書類が求められます。免除とはならないので注意が必要です。 -
Q: 新規化学物質の審査にはどのくらい時間がかかりますか?
A: 物質の有害性や用途によって異なりますが、数ヶ月から1年以上かかることがあります。審査中の補正や追加データ提出が生じる場合もあります。 -
Q: 海外から購入した化学物質が本当に日本で新規化学物質かどうか調べるには?
A: 国内の「既存化学物質名簿」をチェックし、CAS番号等で該当がないか検索します。化学物質の構造や組成によって判断が分かれるため専門家に確認するのが確実です。 -
Q: 化審法の届出対象外だと思って製品を輸入しましたが、後で新規認定された場合はどうなる?
A: 過去に遡って無届の状態となり、行政指導や罰則対象になる可能性があります。判明した時点ですぐに専門家に相談して対策を講じる必要があります。 -
Q: 共同開発で新規化学物質を製造する場合、届け出は誰が担当すればいいですか?
A: 実際に製造や輸入を行う事業者が届出義務を負います。共同開発先との契約書で責任分担を明確化し、必要書類を共同で整備することが望ましいです。 -
Q: 化審法の届出数が多く、自社で管理しきれません。外部委託は可能ですか?
A: はい。行政書士やコンサルタントに書類作成や官公庁対応を委託できます。依頼時には機密保持契約を締結し、物質情報を安全に取り扱いましょう。
11~20:毒劇法・危険物取扱者関連
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Q: 取り扱う薬品が毒物・劇物に該当するかどうか、どうやって判断すればいいでしょうか?
A: 厚労省告示の毒物・劇物指定リストで成分や濃度を確認します。濃度閾値を下回る場合は非該当になるケースもあるため、正確な成分分析が必要です。 -
Q: 毒物及び劇物取締法で製造販売業を行いたいのですが、どこで許可を取得しますか?
A: 都道府県知事(薬務課や保健所など)が窓口となります。製造業、輸入業、販売業など種別ごとに登録・許可要件が異なるので注意してください。 -
Q: 毒物劇物の保管ルールはどのようなものがありますか?
A: 鍵付きの保管庫に収納、毒物・劇物表示のラベル貼付、専用の帳簿管理が必要です。食品・飼料と混在しないような区分保管が求められます。 -
Q: 毒物劇物の在庫や使用量はどのように把握する必要がありますか?
A: 入出庫のたびに帳簿へ記録し、在庫数量と実物が一致しているか定期的に確認します。帳簿は法定期間保存が義務づけられています。 -
Q: 劇物を少量だけ販売する場合でも登録が必要ですか?
A: はい。販売形態や数量に関わらず、販売行為を行う場合には法に基づく登録が必要です。未登録販売は違法となります。 -
Q: 在庫の毒物を処分したいのですが、廃棄方法はどうすればいいですか?
A: 法令で定める廃棄基準に従い、産業廃棄物処理業者または特別管理産業廃棄物処理業者に委託するのが一般的です。行政書士が委託契約やマニフェスト作成をサポートします。 -
Q: 毒劇物取扱いの資格や免許は必要ですか?
A: 取扱者そのものに免許は不要ですが、適切な知識を持つ責任者の配置や販売時の身分確認などが求められます。都道府県によって追加要件がある場合もあります。 -
Q: 輸入した化学品が毒物・劇物に該当する場合、どのタイミングで登録すれば良い?
A: 輸入開始前に毒劇法上の「輸入業」登録を行い、品名・用途・保管場所などを届け出る必要があります。船積前に確認しましょう。 -
Q: 消防法の危険物と毒劇物が重なるケースで、ダブルで規制を受けるんですか?
A: はい。双方に該当する場合、毒劇法と消防法の両方で手続きや設備基準が求められます。どちらが優先されるわけではなく、それぞれの要件を満たす必要があります。 -
Q: 毒物劇物を製品に配合して販売する場合、製品自体が毒劇物扱いになりますか?
A: 成分濃度や形状によって判定されます。一定濃度を超えると「劇物」などに該当しますので、濃度計算・告示確認を行うことが重要です。
21~30:消防法・危険物施設関連
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Q: 危険物施設を新設する際、どこへ許可申請すれば良いでしょうか?
A: 所在地を管轄する市町村の消防長(消防署長)に対し「危険物施設設置許可」を申請します。施設種別や危険物の類・数量ごとに必要書類が異なります。 -
Q: 第4類危険物を扱う工場で取り扱い数量を増やす場合、変更届は必要ですか?
A: 指定数量の増減や施設構造の変更がある場合は、変更許可または届出を要することが多いです。事前に消防署へ相談してください。 -
Q: 危険物取扱者(甲種・乙種・丙種)はどのように配置すればいいですか?
A: 取扱う危険物の種類や作業内容に合致した資格者を必要人数配置します。24時間稼働の場合、交代要員も含めて計画が求められます。 -
Q: 消防法で定める危険物の「指定数量」とは具体的に何ですか?
A: それぞれの危険物の種類ごとに法律で定められた基準数量です。指定数量以上を扱うときに危険物施設として許可が必要になります。 -
Q: 危険物施設の保安検査や定期点検はどのくらいの頻度で行うべきでしょうか?
A: 施設の種類・規模に応じて年1回以上などが一般的です。消防署が行う立ち入り検査や自主点検の実施を要する場合があります。 -
Q: 危険物取扱施設を建設するのに、建築基準法との整合は必要ですか?
A: はい。市街化調整区域などで危険物施設を建設する場合、都市計画法・建築基準法との調整が不可欠です。用途地域によっては建設自体が制限されることもあります。 -
Q: 既存の危険物施設で火災が起きた場合、運営者の責任はどうなりますか?
A: 防火設備や管理体制に不備があれば、行政処分や損害賠償リスクがあります。保険加入や定期的な安全教育でリスク軽減を図りましょう。 -
Q: ガソリンや灯油を少量だけ保管する場合にも消防法は適用されますか?
A: 指定数量未満なら免許不要となる場合がありますが、危険物として扱う以上、一定の安全管理や保管ルールは必要です。自治体条例に上乗せ規制があることもあります。 -
Q: 危険物施設を閉鎖・廃止したい時の手続きはどうすれば?
A: 施設を廃止する場合は消防署長への「廃止届」が必要です。タンクの処分や残留危険物の処理など、適正な廃止措置が求められます。 -
Q: 危険物を通販で販売する計画ですが、消防法上問題ないでしょうか?
A: 指定数量や運送形態により規制が変わります。物流倉庫での保管量が多い場合は危険物施設許可が必要です。輸送面では道路運送車両法などもチェックしましょう。
31~40:労安法・高圧ガス保安法・環境法規関連
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Q: 有機溶剤を扱う作業場において、労働安全衛生法の届出が必要でしょうか?
A: 有機溶剤中毒予防規則(有機則)や特定化学物質障害予防規則などに該当する場合、事業場ごとの届出や作業環境測定が求められます。 -
Q: 作業環境測定と特殊健康診断の対象はどう判断すればいいですか?
A: 取り扱う化学物質が「特定化学物質」や「有機溶剤」の規制対象に該当し、作業濃度が一定基準を超える場合に定期測定・健康診断が義務付けられます。 -
Q: 高圧ガス保安法の「製造許可」はどこに申請すればよいですか?
A: 都道府県庁や保安協会(KHK)などが窓口になります。ガスの種類や圧力レベルに応じて技術資料や安全対策計画を提出し審査を受けます。 -
Q: LPGを小規模で販売(充填)したいのですが、許可は必要ですか?
A: 一定規模以上の貯蔵量や充填行為を行う場合は「販売事業者許可」や「製造(充填)許可」が必要となるケースが多いです。規模要件を確認しましょう。 -
Q: 高圧ガス設備の保安検査は誰が行うのですか?
A: 自社の保安責任者による自主検査と、外部機関(KHKなど)または行政当局による法定検査があります。事前に検査日程や書類を準備する必要があります。 -
Q: 大気汚染防止法で、ばい煙発生施設の届出を出さずに稼働したらどうなりますか?
A: 無届出の稼働は違法行為となり、行政指導や罰則を受ける可能性があります。設置前に必ず都道府県知事への届出が必要です。 -
Q: 自社工場で悪臭が指摘されています。悪臭防止法に基づく対策は?
A: 悪臭規制地域に指定されているかを確認し、敷地境界や作業場の臭気測定などを行いましょう。排気装置やスクラバー導入が必要な場合もあります。 -
Q: 水質汚濁防止法で「特定施設」に該当するかをどうやって調べますか?
A: 施行令や自治体条例で「特定施設」の定義が示されています。排水量や使用薬剤、工程内容などを照合して判定する必要があります。 -
Q: PRTR法で毎年提出している排出量届出を電子申請に変えたいのですが?
A: 電子届出システム(e-Govなど)を活用し可能です。登録手続きや電子署名が必要な場合があるため、あらかじめ手順を確認してください。 -
Q: PRTR法の対象化学物質を1トン以上使った場合、どこに届出すればいいですか?
A: 原則として事業所所在地の都道府県知事(または政令指定都市の場合は市長)に届出します。毎年度の集計と報告が義務です。
41~50:廃棄物処理・その他総合的な質問
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Q: 化学物質を扱う過程で発生する廃酸や廃アルカリは産業廃棄物ですか?
A: はい、政令で定められた産業廃棄物の一種です。処理方法や委託先を適切に選定しなければなりません。 -
Q: 特別管理産業廃棄物(PCB・感染性廃棄物など)を保管する際の注意点は?
A: 保管場所の構造基準、施錠管理、表示板の設置など、通常の産業廃棄物より厳格な基準が適用されます。 -
Q: マニフェスト管理を適切に行わないとどうなりますか?
A: マニフェスト未交付や返送確認漏れなどは違反となり、行政から是正指導や罰金を受ける可能性があります。 -
Q: 化学物質の輸出入で、外国為替及び外国貿易法(外為法)は関係ありますか?
A: はい。キャッチオール規制や特定の化学兵器関連物質規制等があり、輸出入相手国や物質の軍民転用可能性を確認する必要があります。 -
Q: 化学物質の安全データシート(SDS)はどんな場合に作成・提供する義務がある?
A: 労働安全衛生法やPRTR法で指定された物質を譲渡・提供する場合、GHSラベルとともにSDS交付が義務付けられています。 -
Q: 化学物質のラベル表示が消防法・労安法・毒劇法などで重複しています。統一できない?
A: 一部統一ラベルが認められていますが、それぞれの法令で必須記載項目が異なる場合があります。総合的に調整することが必要です。 -
Q: 製造所を移転したいのですが、既存の許可を引き継げますか?
A: 原則として所在地が変われば許認可は新規取得や変更手続きが必要です。自治体が変わるとさらに手続きが複雑になるので注意してください。 -
Q: 他社に製造委託する場合、自社が負う法的責任はどうなりますか?
A: 委託契約内容や法令で義務が分担されますが、届出義務や事故責任が委託元に残るケースも多いです。契約書で明確化してください。 -
Q: 国際取引で日本国内法と相手国の法令が相違する場合、どちらを優先すればいい?
A: 日本の事業所で製造・輸入する以上、日本の法令を優先的に遵守する必要があります。同時に相手国の輸出入規制も確認が求められます。 -
Q: 行政書士に依頼するメリットは何ですか?
A: 官公署への書類作成・提出代行、許認可手続きの専門知識、法改正情報のキャッチアップなどが得られ、時間とリスクを大幅に削減できます。複数法令にまたがる化学物質の手続きを一元的にサポートできる点が最大の強みです。
これらのQ&Aはあくまで一般的な例となります。実際には、**事業者固有の状況(取扱物質、設備規模、事業所所在地など)**により対応が異なるケースも多々あります。行政書士事務所としては、個別相談を通じて要件を正確に整理し、最適な許認可・届出手続きをご案内致します。