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ブランデンブルク門――ベルリンの時を刻む凱旋門

  • 山崎行政書士事務所
  • 2月4日
  • 読了時間: 3分

1. 早朝のブランデンブルク門

 ドイツの首都ベルリン。市内中心部のパリ広場から見える ブランデンブルク門(Brandenburger Tor) は、まるで静かな威厳をまとって、空に向かって堂々と立っている。夜明け前に訪れると、まだ観光客も少なく、石畳の広場は青白い朝霧をかすかに帯びている。 門の上には勝利の女神ヴィクトリアを象った「クアドリガ」が据えられ、四頭立ての馬車を操る女神のシルエットが淡い光の中で際立つ。どこか神聖にも感じられるこの門は、建設当初は都市の門だったが、歴史の荒波を経て“ベルリンの象徴”へと変貌を遂げた。

2. 歴史が刻んだ門の傷跡

 ブランデンブルク門は 18世紀末 にプロイセン王国の凱旋門として建てられた。当時は、王宮から見た“都市への正面玄関”という役割を担っていたが、その後のドイツ史やヨーロッパ史の様々な激動をくぐり抜いてきた。 ナポレオン戦争の時には、クアドリガの像が一度パリへと持ち去られるという逸話も残る。第二次世界大戦の爆撃で損壊し、東西冷戦時代にはベルリンの壁で門自体が通れなくなっていた――そんな歴史的事実が、この門の姿におのずと重みを帯びさせている。

3. ショッピング街と近代ビルの狭間

 門のすぐ先には広大な公園 ティーアガルテン(Tiergarten) が広がり、反対方向にはウンター・デン・リンデン通り(Unter den Linden) が伸びている。かつては絢爛な宮廷行列が通ったであろう石畳の道が、今はモダンなビルと歴史的建築を混在させながら、ベルリンの新旧が融合した街並みを構成している。 門の両側にある広場ではイベントや音楽祭が開かれ、多くの人が行き交う。特に観光客が写真を撮るために群がる夕暮れ時は、門のアーチがオレンジの光に染まり、まるで歴史の壁を再び解放するかのように見える。

4. 夜のライトアップと静けさ

 日が沈み、街灯が点灯すると、ブランデンブルク門は別の表情を見せる。照明に照らされ、サンドカラーの石材が優しい金色を帯び、クアドリガの影が微かに地面へ伸びる。 夜の風が冷たくなっても、この場所を訪れる人々は絶えない。音楽を流すストリートパフォーマーや、夜景をカメラに収めようとする観光客、深夜の静寂の中で歴史に思いを馳せる地元民――そんな多彩な顔ぶれが、門を巡る多重の物語を紡いでいるようだ。

5. 過去と未来をつなぐアーチ

 東西冷戦時代、この門は「壁」によって隔てられたものの象徴となった。しかし、1989年のベルリンの壁崩壊以後、再び人々に開かれたゲートとしての役割を取り戻し、ドイツ再統一のシンボルへと変わった。 今や門は、アートプロジェクションの会場や、国民的行事のステージとしても使われることがある。大きなディスプレイに映し出される現代アートが、18世紀生まれの凱旋門に彩りを与えるという光景は、ドイツの過去と未来が重なり合う、まさに新時代の「門」の在り方を示しているのだ。

エピローグ

 ベルリンの凱旋門(ブランデンブルク門)――プロイセンの栄華から、ナポレオン戦争、東西冷戦、そして統一ドイツへ至る歴史の激流を静かに受け止める石造りの彫刻。 観光客で賑わう昼と、ライトアップで黄金に染まる夜が、同じ建物とは思えぬほど違う表情を見せる。そこには、ベルリンという街が歩んできた歴史が宿り、これからの未来を見つめる眼差しがある。もし足を運ぶなら、朝昼夜それぞれの時間帯でこの門を眺めてみてはいかがだろう。 そのアーチの向こうに広がる通りと公園こそが、過去と今、そして未知の未来を結ぶ「ドイツの心臓部」の象徴なのだから。

(了)

 
 
 

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