1. 目的
このマニュアルは、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)から従業員を保護し、心理的および身体的安全を実感できる職場環境を提供することを目的としています。これにより、従業員が安心して業務を遂行できるよう支援します。
2. カスハラの定義と具体例
カスハラとは、顧客が従業員に対して不当な要求や暴言、暴力を行う行為を指します。これにはオンライン上での嫌がらせも含まれ、以下のような行為が具体例として挙げられます:
不当な要求: 返品ポリシーに反する返品要求、無料の追加サービス要求など。
長時間の拘束: 繰り返される同じクレーム、無意味な議論。
暴言や侮辱: 人格を否定する言動、差別的な発言。
身体的な暴力: 直接的な攻撃、物理的な脅迫、不必要な身体的接触。
3. 基本方針
従業員の安全と健康を最優先にし、法律や会社の方針に基づき迅速かつ適切に対応します。
専門機関(警察や弁護士など)との連携を図ります。
4. 具体的な対応手順
4.1 初期対応
冷静な対応: 感情的にならず、顧客の言動に冷静に対応すること。
状況の把握: 顧客の要求や問題点を具体的に確認し、必要に応じて詳細を記録すること。
限度の設定: 理不尽な要求や暴言に対して毅然とした態度で対応し、適切な対応の限界を示すこと。
4.2 エスカレーション
上司や責任者に報告し、状況が悪化した場合は専門機関への相談を行います。
4.3 事後対応
記録の作成: 事件に関する詳細な報告書を作成します。
従業員のケア: 必要に応じてメンタルヘルスサポートを提供します。
再発防止策の検討: 事件の分析を行い、社内研修やマニュアルの見直しを通じて再発防止策を検討します。
5. 研修と教育
定期的なカスハラ対応研修を実施し、従業員がカスハラに適切に対応できるようにします。研修内容にはカスハラの定義、具体例、冷静な対応方法、状況把握と記録、エスカレーション手順、メンタルヘルスケアが含まれます。
6. 法的助言の提供
労働法に基づく従業員保護
安全な労働環境の権利: 労働基準法や労働安全衛生法に基づき、安全で健康に働く権利を説明します。
精神的健康の保護: 適切な労働環境を求める従業員の権利を保護します。
企業としての対応義務
カスハラ防止策の実施: ポリシーやルールの策定、従業員への周知徹底。
苦情処理機関の設置: 内部通報窓口や苦情処理機関の設置を推奨します。
刑事法に基づく対応
暴行罪・脅迫罪の定義: 刑法に基づく犯罪行為の認定とその適用範囲について説明します。
警察への通報手順: 適切なタイミングと方法での通報を指導します。
刑事告訴の方法: 告訴状の作成、提出先の紹介、証拠の収集と保存方法について指導します。
7. 最後に
カスハラに対する企業全体での取り組みの重要性を強調し、従業員が安心して働ける環境の維持とカスハラ対応の継続的な改善を促します。
静岡市 山崎行政書士事務所
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