第一幕:ラージの登場、カレーの香りとともに
(場面:とある日本のオフィス街)朝日がビルのガラスに反射してキラキラ光る中、ラージはどこか落ち着かない様子で街を歩いている。彼の手にはスマホが握られ、「Googleマップ、Why you so confusing here…」と半泣きになりながら呟く。道を曲がるたびにスマホの矢印がクルクル回転し、まるでインドの渋滞並みにごちゃごちゃしている。
ラージ(心の声)
「あぁ、就労ビザの手続きを手伝ってくれる行政書士事務所、いったいどこにあるんだろう……。日本語がまだ上手くないし、看板が読めない!」
すると、ビルの狭間に小さな看板を発見:「ナカムラ行政書士事務所」。「Oh! Here we go!」と、ラージは満面の笑みでドアを押し開ける――
第二幕:ナカムラ行政書士事務所での騒動
(場面:ナカムラ事務所の受付)事務所のドアを開けると、受付デスクに座るのは補助者のユリ。すこしあたふたした彼女は、ラージを見て笑顔で迎える。
ユリ(焦りながら)
「あ、あの……You are Mr…? あ、ラージさんですね! どうぞどうぞ、おかけくださーい!」
ラージは椅子に腰を下ろすが、ちょっと緊張でガチガチ。すると奧からナカムラ先生が勢いよく登場。「ラージさんですね! Welcome to Japan! ええと、就労ビザのお手続きですね?」勢いはいいが、カタコトの英語とジェスチャーで何とかコミュニケーションを取ろうとするナカムラ先生。その様子を見てラージは「Oh… this is interesting」と思わず微笑む。
第三幕:文化のギャップにドキドキ
書類を広げながらナカムラ先生は、「日本のビジネス文化って厳しいんですよ」と嬉しそうに語る。
ナカムラ先生
「日本企業はよく“ホウ・レン・ソウ”を大事にするんです。ホウレンソウって、おひたしじゃなくて“報告・連絡・相談”って意味なんですよ」
ラージ
「Ah… spinach? ええと……分かりませんが何か大事そうですね」
さらにナカムラ先生は「時間厳守で!」と声を大にする。「インドでは“5分後で着く”が30分になることもザラとか聞きますが……」するとラージは、「No no, I am always on time! たぶん……maybe」と苦笑し、ユリが吹き出す。「日本でも遅れる人はいますよ。気にしないで!」と言ってフォロー。
第四幕:職場でのアタフタ
やがてビザの手続きが完了し、ラージはオオツカITソリューションズなる企業で勤務を開始。しかし、初日からカルチャーショックの連続。日本語の会議では専門用語がずらずら飛び交い、同僚たちが「了解でーす」「検討しておきます」と曖昧な答えを繰り返すのを見てラージは混乱。
ラージ(心の声)
「Wait… 了解 means 'okay'? Or means 'I just ignore'? Hmm... so confusing.」
さらに、昼休みにカレーを持参しようとすると同僚が「カレー臭が強いですね」と笑う。ラージは「But I need spicy curry for power!」と主張し、同僚たちも「まあ、ラージさんだから仕方ない」と呆れつつ微笑む。そんなユーモラスなギャップが日々続いていく。
第五幕:再びナカムラ先生の出番
ある日、会社での契約関係や更新手続きが必要になり、再びラージはナカムラ事務所を訪問。ナカムラ先生は「どうです、Japanese business culture?」と興味津々に尋ねると、ラージは目を輝かせながら、「It's tough sometimes, but I'm learning a lot. 日本人の働き方、とても勤勉ですね」と語る。とはいえ、やはり言語の壁は大きい。「Daily stand-up meetingが英語じゃないし、残業の概念がちょっと…」など苦労も絶えない様子。
第六幕:ラージの夢
そんな日々の中、ラージはふと語る。「インドに家族がいるから、いつか日本で身につけた技術をインドでも活かしたいんです」と。ユリが「いいですね、インドで起業するんですか?」と聞くと、ラージは嬉しそうにニコッとしながら「Yes, I want to build a software company in my hometown」と答える。その姿に、ナカムラ先生もユリも「素敵!」と感嘆の声をあげる。**「よし、そのためには日本のビジネスをしっかり吸収して、インドに持ち帰るわけですね。夢がありますねえ!」**とナカムラ先生は興奮気味。
第七幕(クライマックス):困難を乗り越え、笑顔で
一方、仕事現場ではバグ対応だの納期問題だので苦労が絶えないラージ。日本の同僚たちもついイライラしてしまうが、ラージの一生懸命な姿に「俺たちも負けてられないな」と気合が入る。**「ラージさんが遅れてくるときもあるけど、仕事のパフォーマンスは抜群じゃない?」**など、いつしか彼らの信頼も深まっていく。やがてインドと日本が一緒に開発したソフトがリリースされ、社内で祝杯ムードに。「ナカムラ先生のおかげで、ビザも問題なく更新できそうです」とラージは感激し、ナカムラ先生は「いやいや、あなた自身の努力が勝因です」とほほ笑む。
エンディング:故郷へ向かうラージの背中
(場面:空港ロビー? あるいは出張先?)何年かして、ラージはインドの家族のもとへ帰省することに。数年間で日本のIT現場の技術を磨いた彼は、故郷での起業を本気で考えている。別れのあいさつにナカムラ先生の事務所を再訪し、ユリと先生に「ありがとうございました」と深々と頭を下げる。「If you come to India, I'll show you real curry power!」と冗談まじりに誘う。ナカムラ先生は「もちろん行きたいですよ、スパイス耐性頑張りますから!」と笑う。ユリは涙ぐみながら「日本に戻ってきたら、またご飯行きましょうよ」と手を振る。
結び
ラージが空港へ向かう車の窓からは、まだ明るい日本の街並みが見える。しばらく車が走ったあと、桜の季節にはちょっと早いが、ふいに小さな花のつぼみを見つけて心が躍る。「Dreams can come true, ほんとに…」とつぶやきながら、ラージは微笑む。夢を抱いて日本にやってきた日々を思い返し、今度はインドで新たな挑戦が始まるのだ。“ありがとう、日本”――そんな思いを胸に、ラージは故郷へと飛び立つ。――ここから先も、ナカムラ行政書士事務所では、きっとまた誰かの“夢”を支援する物語が続いていくのだろう。
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